味を見ればわかる
筆者自身は、実は子どものころから牛乳が苦手だ。飲み物として飲むなら、唯一のお気に入りブランドの成分無調整豆乳を飲む。コーヒーは基本ブラックである。だが、たまにクリームを入れる。
ポーションをぷちっと開けてコーヒーに注ぎ、口へ運んでひと口すすったときに、「うーーーん」と沈黙してしまうのが植物性のものだ。予め確認しなくても、味で分かる。どんなにおいしく淹れたコーヒーでも、味が落ちる。
コーヒーゼリー開発のときにどうしたか
特定販路に販売するコーヒーゼリーを開発したことがある。クライアントである大手コーヒーメーカーの担当者と一緒に開発したものだが、その際に私がこだわり「どうしても聞き入れてほしい」とお願いしたのが、ゼリーのサイズ。当時、ジャンボサイズのプリンなどが流行り始めた頃で、まずサイズは大きいのがいい。しかしデザインは格調高く。そして、「添付するクリームは絶対に動物性脂肪で。」というお願いだ。高品質なスペシャリティコーヒー(キリマンジャロ)を使ってせっかくおいしいゼリーを作っても、それに植物性脂肪のミルクをかけたら台無しになる。幸い、担当者は私の意見にすぐ納得して、この二点を守って製品を仕上げてくれた。デザインは逆に、メーカー側の意向を汲みながら、こちらで仕上げた。なおこのゼリーはその後、販路ごとにパッケージ(台紙)のデザインが変更され、今も売れ続けている。特定販路とはいえヒット商品である。
賞味期限の問題
コーヒーには、動物性脂肪の方が合う。だが、ポーションにしたときに、日持ちさせるのが難しいという問題があった。この点をどうやってクリアされたのかは私は承知していない。ただ結果的に「できた」。コーヒーに入れる乳製品で、おそらく日本一知られており親しまれてきたメーカーだと思う。コーヒーゼリーに添付できる、日持ちする動物性脂肪のクリームのポーションを見事に創り上げておられた。
カフェ・オレやカフェ・ラテの場合
前項まで取り上げてきたのは、コーヒーに使う 「クリーム」の場合。コーヒーに牛乳や豆乳を入れて飲み物を作ろうというときは、事情が異なる。
豆乳好きなら、豆乳が豆の品種やメーカーによって、大きな違いがあることをご存じだろう。だが(無調整)豆乳は概して、温めてしまうと、どれも豆腐っぽい匂いになってしまう。これはどうすることもできない。
だが、冷たい状態で飲む場合は一変する。冷たい豆乳で、冷たいカフェ・オレやカフェ・ラテを作ると、おそらくは豆乳嫌いでない限り、満足できる味になる。
いろいろ書いてきたが、これはもちろん業界に関わってきた「一人の一意見」である。コーヒーの味わい方に正解も不正解もあろうはずがない。ただ、市場がそうなっているから、いつもそのように提供されるから、といって受容するだけでは楽しみが増えない。「もっとおいしいクリームはないのか」「もっとコーヒーに合う甘味料はないのか」やっぱりブラックが一番か」などと、多くの人に試行錯誤してもらいたい。
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