自家焙煎店の社長たちの会で
多分、コーヒー通なら誰もが知っているような、有名自家焙煎店の社長たち数人と話していたときに、この話題になったことがある。常々淹れ方を試行錯誤し工夫を凝らしてきて、ちょうど少し前から、「むしろ濃い目に入れて薄める方がうまいときもある」と感じて、繰り返し試していた時期だったから、ドキッ!!とした。「邪道」と言われたら、心理的に続けづらくなるからだ。
この記事は長文にするつもりがないので、サクッと書いてしまうと、プロたちの答えは「アリ」である。議論を主導したのがボス的な人だったから、反論があっても押し殺してしまった社長がいたかもしれない。だが長年の付き合いから読める空気として、「必要に応じて、濃く入れて薄める飲み方は是認できる」という空気は、たしかに感じられた。
濃く淹れて薄める動機
それはもう、淹れる人に時間がない場合や、いらちの場合もあるだろう。私は400㏄のサーモマグで9分目まで淹れるというお行儀の悪い飲み方が定番なのだが、その400㏄を抽出するのに、豆によっては山盛り二杯半で最後までドリップするよりも、山盛り3杯で6,7割淹れて、あと熱湯で薄める方がおいしいと感じたからである。飽くまで「豆によっては」で、どの種類でも二通りのドリップに大きな違いが出るとは感じない。
後半に出てくる雑味が味を悪くすることがある
言い切りたいくらいだが、抑えた。というのは、ドリップの達人が、適温で上手にドリップしていく場合は、そのようなことはないと思うからである。でも普通の人が自宅で飲むのに、達人の味は偶然でしか出せないだろう。少なくとも私は朝の忙しい時間の中で、他のことをやりながらドリップするので、気がつくと、後半はもう、フィルターの中のコーヒー粉が終了感を漂わせている。既定の量のお湯を通し終わっていないのに、粉が「もう出がらしです」と言っている。最初の頃は、それでもマニュアル通りの考え方で最後まで抽出していたが、飲むと納得いかない。
そこでふと思い出したのが、アイスコーヒーを淹れるときのコーヒーだった。二倍の濃さで淹れ氷で割る。毎日飲むホットと同じコーヒー豆を使っても清涼感が素晴らしい。氷のせいではない。
コーヒー粉が「終了感」を見せたら
粉がへたーっとなり、熱いお湯を注いでも無反応になってしまったら、それ以上ドリップしない方が良いというのが私の現時点の考え方だ。最初に書いたように、豆によってはいずれの方法でも大きく違わないが、豆の種類や焙煎方法によっては、劇的に違ったりする。ちなみに私が買ったことのあるコスタリカのスペシャリティ(浅煎り)がこれで、沸かしたての熱湯もダメ、最後まで抽出するのもダメで、少し冷ましたお湯で、普段より1.5倍くらいの豆を挽いて濃い目にドリップし、早めに切り上げて、足りない分は熱湯を足す。こちらの方がはるかにおいしかった。
この記事を読んでも、アマ・プロともに「何言ってんだか」「明らかに邪道だ」と思われる人もいることだろう。それはそれ。でも正解なんてない。私は、珈琲道なんていう窮屈なものも苦手。楽しみ方は多い方が良い。
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